アトリウム
講談社

第3回屋上・壁面特殊緑化技術コンクールで、特別賞をいただきました。

新社屋アトリウムは、「音羽の街との共生・音羽の森の復活」をコンセプトとし、音羽の森のイメージを創出し執務空間と街並みに寄与することを狙い、アトリウムはガラスを透して緑が見えるようにし、街路樹・建物前庭・アトリウム、そして屋上へと緑が繋がって見えるよう構成し、音羽の街に豊かな表情を持たせる設計としている。
アトリウムの形状は3層吹き抜けで1階~3階までの斜面に植栽を行い、天井の高さは5階レベルの天井と同一としている。このアトリウムは、和木の高木植栽を積極的に採用・導入し、良好な樹木生育環境と執務環境形成のためアトリウム内の空気循環システムを採用して高さによる温度差解消などの対策を実施し、特に、日照時間がアトリウムの合否を決めるとの認識からアトリウムに適応できる樹種採用と完成後の維持管理に多くの工夫を施している点が評価された。

アトリウムの植栽基盤技術

当初から高木の植栽も考え、充分な有効土層を確保し根づまりを起こさないように客土厚は
高木部分で120㎝、低木部でも40㎝を確保するようにし、植栽基盤を厚くすることにより樹木の健全な成長を図った。また、アトリウム内の客土には、乾燥時の比重が軽く小運搬が楽な施工性を考え、保水性の高い真珠岩パーライトを使用し、スロープ状基盤に人工地盤を作ると崩れる恐れがあるため、嵩上げ材(発砲スチロール)を使用し、雛壇状に仕上げている。

トリウム環境調整技術と植物馴化

アトリウム植栽での計画のポイントは光、風、温度・湿度のコントロールである。特に風は無風状態だと植物が蒸れて病害虫の発生の原因になり、樹木枝を強くし、葉がそよぐ程度の風の吹出し口を、空調の吹出しと別に植栽地の中に設置した。温・湿度は空調の調節で行っているが、通常では樹木の足元が寒く、上部が暑くなることが多くなり、10℃近い温度差が出ることがあるがアトリウム内の空気循環を行なうことで1階の植栽地付近から吸込み3階植栽地内から吹出すように計画し暖気と冷気が混ざるようにしている。
照明については、夜19時減光、22時消灯とし、植物生理を配慮した調節を行なっている。
導入植物の事前養生として、樹木調達を1年前に実施、根回しを行ない、実際のアトリウム環境に近い条件(人工土壌への仮植や寒冷紗による半年間の減光養生等を実施)での仮植環境を創り出し、植物馴化後本植栽を実施している。

 

履行場所 東京都文京区音羽
完成年 2001年
発注者 株式会社講談社
樹種 高木(フィカスエキゾチカ、カシワバゴム、シマトネリコ、クス等)
中木(ベンジャミン、ゲッキツ等)
低木・地被(シャボチカバ、プミラ、オリズルラン等)
受賞名 第3回屋上・壁面特殊緑化技術コンクール
特別賞